Airのアニメ・ゲーム・漫画・小説・映画・演劇レビュー うぐぅの音も出ない作品をどろり濃厚ピーチ味にご紹介

アニメ・ゲーム・漫画・小説・映画・演劇などを、私ことAirが、脱線しながら独自の見解で考察や感想を述べていくブログです。 アニメは深夜とスカパー(AT-X )中心、ゲームはRPG・シミュレーション(戦略も恋愛も)・ノベル中心、漫画は少年マンガ・少女マンガ・青年誌などジャンル問わず、小説はミステリー中心にサスペンス・ホラーも、映画は少なめ、演劇は劇団四季中心となります。 王道だけでなく、隠れた名作など、(う)ぐぅの音も出ない面白い作品を(どろり)濃厚(ピーチ味)にご紹介していきたいと思っています。 ※この小ネタ、今はどれだけ通じるんでしょう……。

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※画像の本は私物です。

本日レビューさせていただくのは、講談社文庫の『七回死んだ男』です。
西澤保彦先生の第3作で、1996年の第49回日本推理作家協会賞・長編部門で候補、2012年の東西ミステリーベスト100で70位となった、SFとミステリーを融合させた名作です。


2000年代に入り、涼宮ハルヒの憂鬱のエンドレスエイト・ひぐらしのなく頃に・Steins;Gate(シュタインズ・ゲート)・魔法少女まどか☆マギカ・Re:ゼロから始める異世界生活など、ループ物の大ヒット作が多数存在するようになりました。

日本でループの元祖というと1965年の筒井康隆氏の『しゃっくり』かなって思いますが、広く認知されたのは、高橋留美子氏が原作で押井守氏が監督した1984年の劇場アニメ映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』だと思われます。
繰り返される学園祭の前日から脱出しようと苦悩する名作で、その後の様々なループ物作品に影響を与えています。
ただ、原作者の高橋留美子先生はあまりこの作品は好きではなかったみたいですがw

今回の『七回死んだ男』は『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』から10年程後に発表されました小説で、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』や『カオスシード〜風水回廊記〜』など、ゲーム作品でループ物が複数発売されていた時代に登場した小説になります。
元祖とまでは言えないものの、こちらも現代のループ物作品に多大な影響を与えた作品の一つではないでしょうか。
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【内容紹介】
同一人物が連続死! 恐るべき殺人の環。
殺されるたび甦り、また殺される祖父を救おうと謎に挑む少年探偵。
どうしても殺人が防げない!? 不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう、渕上零治郎老人――。
「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。
孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは! 時空の不条理を核にした、本格長編パズラー。
※講談社文庫より抜粋。

※昨年、新装版が発売されたみたいですが、こちらは読んでおりません。
ですので、1998年発行の文庫版の内容でレビューしていきたいと思います。


主人公の久太郎君は、“反復落とし穴”という特殊能力を持っています。
それは“一日を合計九回繰り返す”という能力で、久太郎君が同じ行動を行えば、周りも同じ行動を取り、久太郎君が違う事をすると周りも変化していきます。
ただ、この能力の発動はランダムで、久太郎君が意図して行うことが叶わないので、基本的に同じ日が繰り返した時に「やれやれまた“反復落とし穴”か」といった風に、ループしていることに気付くといった感じです。

ループを小さい頃から繰り返しているからか、まだ高校1年生の久太郎君ですが、実質30年以上の人生をおくっている為、達観していて落ち着きはらっています。
これは、15000回くらい同じ夏休みを繰り返したエンドレスエイトの長門有希に通ずるところがあります。

そんな久太郎少年は、祖父の渕上零治郎が殺されていても、他の大人達よりも圧倒的に落ち着いて思考を巡らせ、事件解決へと奔走していきます。
この行動力、どこかの孫やバーローばりに有能な少年探偵ですね。

タイトルに七回死んだ男と有るため、「主人公の久太郎が七回死ぬのかな?」と読む前は思っていたのですが、実際に死ぬのは渕上零治郎おじいちゃんで、孫の久太郎君が“反復落とし穴”の能力をフル活用して、おじいちゃんの死を回避しようとする物語です。

そういう意味では、まゆしーの死を回避するためにタイムリープを繰り返す、Steins;Gate(シュタインズ・ゲート)のループに一番近いのかもしれません。
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この作品は、基本的に親族間での遺産相続の争いがベースとなっていますので、登場人物も秘書・家政婦・弁護士を除けば全て身内となっています。

遺産を持っているのは、もちろん七回死ぬことになる渕上零治郎おじいちゃんなんですが、元々は堕落して、三姉妹の長女と三女が逃げるように結婚をしてしまい、残った次女と最後の晩餐をして心中しようとしていたのですが、その前にやった競馬で大穴を的中、更には逆バリした株も暴騰し、その資金で飲食店を始めたら全国チェーンになってしまったという、何ともご都合……ゲフンゲフンw
漫画でも今時無いわーと言われそうな、一発逆転の展開で巨万の富を得てしまい、その財産を次女一人に相続させまいと、長女と三女が孫でアピールをして、毎年書きかえられる遺言書をどうにかしようとしていたところに、そのおじいちゃんが殺されてしまったんですから、どこかのドンファンもビックリですね。

基本的に久太郎君の一人称視点で描かれているので、落ち着いているとはいえ、高校生らしい心理描写が2000年代のラノベっぽさがあり、時代を先取りしていた感があります。
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こんな感じのドタバタコメディな文なので、殺人事件のミステリー感は限りなくゼロに近いです。

ただ、コメディタッチでSF設定を加えているというミステリーとしては邪道なタイプにも関わらず、トリックは秀逸で、その種明かしにも矛盾はなく、上質なカタルシスを味わえる素敵な作品です。

これ、今ならワンクールのアニメ化でもしたらヒットするんじゃないかなって無責任ながら思ったりします。
『四畳半神話体系』みたいな感じで構成していけば11、12話くらいで綺麗にまとめることが可能ですし。

それに、アニメヒロインとしても、妹のルナは美少女なのが確定していてお色気シーンもありますし、姉の舞も地味カワにするなど、キャラデザ次第で萌え豚おじさん達を釣ることも可能に思えてなりません。

そして、何よりも友理さんのデレた時の可愛らしさが最高なので、是非ヒロインとして推したいです。
クーデレ好きとして堪らないという個人的な好みですがw

そんな感じで、ミステリーとしてもSFとしても楽しめて、更には一部のクーデレ好きにも嬉しい西澤保彦先生作『七回死んだ男』のレビューでした。
七回どころか一回死ぬ前に読んでいただいて、感想とかを言い合えたら最高かなって思っております。


最後に限りなくネタバレなヒントを下記に。
※ネタバレ苦手な人は閲覧をご注意下さい。一度完読されてから確認されることをオススメします。








お酒と階段には気を付けましょう。
そして、私と同じ上記の文庫版なら156ページが重要ですよ。

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昨日のカジモドに続きまして、拗らせた童貞二人による悲劇の古典文学である、ノートルダムの鐘の考察レビューをスタートしたいと思います。
今夜紹介する拗らせ童貞は、カジモドの育ての親であるフロロー司祭になります。

フロローは、厳格なカトリックの司祭になります。
それなのに汚らわしい存在であるジプシーの娘に惚れてしまったから、さあ大変!

――ということなんですが、日本人だとどうしても、キリスト教に馴染みのない人の方がマジョリティではないでしょうか。
その為、カトリックとプロテスタントの違いなど、ピンと来る人は少ないと思われるので、その辺りを簡単に説明していきたいと思います。

違いをざっくり言えば、伝統や格式にうるさいのがカトリック。
それが堅苦しいので、「聖書の教えさえ守れば、皆バラバラでもいいじゃん!  自由にしてOK!」というのがプロテスタントです。
※しっかり説明すると長くなりすぎるので、ざっくりし過ぎなくらいにざっくりな説明にしてみました。

ちなみに、カトリックは特に性に厳格で。
・聖職者は男性のみ。
・聖職者は結婚禁止、性行為も禁止
   (信者は結婚相手以外との性行為は禁止)
・同性愛や同性愛行為もダメ。
――という教えになっています。

昨今、杉田水脈議員の生産性発言を発端とするLGBTに関する一連の記事で新潮社が炎上していますが、40年前のアメリカではこんな事件がありました。

ゲイである事をカミングアウトした上で選挙に出馬した、サンフランシスコの英雄と呼ばれたハーヴェイ・バーナード・ミルク(Harvey Bernard Milk)という人物が、LGBT告白者初の大都市の市会議員になるという快挙を達成したんです。
※市会議員としては当時三人目。

ですが、その翌年、同性愛に寛容だったジョージ・モスコーニ(George Moscone)市長とともに、敬虔なカトリック信者だった同僚のダン・ホワイト(Dan White)元・市会議員に射殺されてしまったんです。

更に、裁判では、陪審員から同性愛者を排除した上で、後にトゥインキー・ディフェンス(Twinkie defense)と呼ばれるジャンクフードの過食による精神薄弱という理由で、ダン・ホワイト(Dan White)の罪が減刑されてしまいました。

その後にも、同性愛者の権利獲得運動が起こった際に、「もし同性愛者が権利を勝ち取ったら、次は彼らに売春やセント・バーナードとの獣姦の権利を与えなければならなくなる」と発言する有名歌手が現れるなど、新潮社の騒ぎどころではないような事件が、実際にあったわけです。
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それくらい、厳格なカトリックにとって、同性愛は忌むべき存在なんだそうですが、そんな同性愛と同じように、当時のジプシーという存在は、認められない不浄なものだったようです。

実際、ジプシーに友好的だったスペインですら、ノートルダムの鐘の舞台から10年後の1492年にカトリック両王がスペインを統一すると、ジプシーに対する法律を発令しました。
猶予期間内にジプシーの言語や慣習や服装などを全て捨てなければ、国外追放・奴隷・鞭打ちというものです。
そして、実際に違反したジプシーを死ぬまで鞭打ちをしたり、ガレー船の漕ぎ手にしたそうです。

ガレー船の漕ぎ手なんて、船底にある50mプールの半分くらいの面積しかない閉ざされた空間に、400~500人が詰め込まれて数ヶ月間も海の上なんですから、ブラック企業が超絶ホワイトに思えるレベルですよね。
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光栄(現・コーエーテクモHD)の大航海時代シリーズをプレイしていた身としては、疫病が蔓延したり、食料や水不足で餓死したり、クラーケンやら人魚やらに――って、最後のはリアルとは違うかもしれませんが、死亡率の高さや死に方まで悲惨なのはゲームですら感じられるので、現実では、もっと惨たらしかったことが、容易に想像出来ます。

と、これはスペインの話ではありますが、フランスのカトリック大司祭だったフロローさんも、ジプシーに対して同じ考え方をしていたと思われます。

ちなみに、前述の同性愛に繋がりますが、2018年9月26日にこんなニュースがありました。
【独カトリック教会聖職者の性的虐待、約70年間で3677人が被害】
ドイツのカトリック教会の聖職者が未成年者に性的虐待を加えていた問題で、過去およそ70年間に3677人が被害にあったとする調査結果が発表されました。 報告書によりますと、1946年から2014年までの間に、少なくとも1670人の聖職者が3677人の未成年者に対して性的な虐待を行っていたということです。被害者の6割以上が男の子で、半数以上が被害にあった時点の年齢が13歳以下だったということです。 また、被害者の4分の3が加害側の聖職者と指導関係にあり、報告書は、聖職者の独身主義が虐待の要因になっていないか問い直す必要もあると指摘しています。
※以下全文とニュースソースhttps://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye3482438.htm

これはあくまでもドイツだけの件数で、以前にアメリカでも数千人の被害報告がありました。

この時も7割の被害者が男の子でしたから、やはりタブーであればあるほど禁忌を犯したくなるんだと思われます。
幼い頃にジャンクフードを禁止された子供ほど、大人になってからハンバーガーやカップラーメンばかりの生活になるケースが多いのと似ているのかもしれません。

ですから、ジプシーに惚れてしまったフロローは、タブーを犯すことによる興奮が半端なかったことが、容易に想像出来ます。
実際に舞台上でエスメラルダが落とした赤いスカーフを持ち帰って、“くんかくんか”しちゃう場面が出てきて、初見の女性だとドン引きされていることが多々見受けられますしw

そんなフロローはカトリックの司祭様という、舞台の登場人物で彼よりも偉いのは、陛下ことルイ11世くらいしかいない天上人の権力者。

ジプシーのエスメラルダは最下層の身分というわけで、パワハラ&セクハラのフルスロットルで手に入れようとしますが、エスメラルダは断固拒否します。

それを受けてのフロローの対応が、手に入らないなら殺してしまえホトトギスということで、魔女狩りとしてエスメラルダを逮捕して、火炙りへと飛躍しちゃうんですから、えらいこっちゃですよ。
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これって、やっていることは、好きが殺意に変化するストーカー殺人と変わらないですよね。
しかも、生殺与奪が思いのままの権力者なんですからタチが悪いです。
禁欲生活を続けると弊害が酷くなるという例の一つと言えるのではないでしょうか。

ちなみに、この時のエスメラルダは16歳。 
現代だったら、児ポ法で逮捕な事案ですが、日本でもロードと泥沼離婚でお馴染みの高橋ジョージさんが、20年前の1998年に、三船美佳さんが16歳になったと同時に結婚出来たくらいですから、500年以上前のフランスはもちろんセーフです。

そんな訳で、口リコン扱いにして良いのか難しいフロローでしたが、16歳の女の子を火炙りにして殺したんですから、口リコンより達の悪い拗らせ童貞だと断言出来ます。

ただ、そんなフロローさんよりも強者の人が当時のフランスには存在していました。
それが、知略で知られ、慎重王と呼ばれたルイ11世その人なんですが、何と、2番目の奥さんが……。


8歳の少女でしたw
慎重王さんマジぱねぇっすwww

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昨日のレビューに続きまして、拗らせた童貞二人による悲劇の古典文学である、ノートルダムの鐘の考察レビューをスタートしたいと思います。
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先ずは主人公であるカジモドからですが、フロローがノートルダムの鐘付き堂にカジモドを閉じ込めていた為、人間との接触が、女性どころか育ての親であるフロローだけなので、カジモドは当然童貞です。
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カジモドが鐘付き堂に監禁されていた理由は、その醜い容姿のせいになります。

その理由は、カジモドの父親であるジェアンと、ジプシーである母親のフロリカの二人が、共に天然痘にかかってしまい、産まれたばかりのカジモドをのこしたまま次々に亡くなってしまった事から想像するに、母体感染してしまった結果だと思われます。

また、せむし男と原作小説の日本語訳で書かれていることから、加齢による骨粗鬆症は年齢的にあり得ないので、カルシウムとビタミンDの欠乏による、骨の石灰化障害である“背むし”こと佝僂病(くる病)だと考えられます。
これは、乳幼児期の栄養失調と日射量の不足が原因なので、先天的というよりは、フロローによる監禁の結果ではないでしょうか。

そんなカジモドですが、劇団四季の中で「ジェアンは美少年♪」と父親の容姿の良さが歌われていますし、母親のフロリカの容姿についての言及は無いものの、フロローがフロリカからの誘惑に対して、一瞬迷いが生じる様子が見られましたから、かなりの美貌だったと思われます。
両親ともに美形だったことを鑑みると、本来は美少年だったんでしょうね。

そういう意味でも、昨日のレビューでも書きましたが、イケメンな海宝直人さんが顔を崩して演じられるカジモドが、一番しっくりとくる理由でもあります。 

ちなみに、ジェアンの役者さんが美少年かというと、たいてい少年感の無い役者さんが演じられる場合が良いので、カジモドを海宝直人さんが演じられる場合だけは、一緒にジェアンも演じてもらえれば、美少年と歌われたとしても、一番しっくりとくるジェアンになりそうな気がしますw

そんな風に、天然痘によって醜い容姿となったカジモドですが、劇団四季の役者さんは、背中を曲げ、片目を瞑り、顔に墨(黒い絵の具?)を塗って表現しています。
ただ、上記の海宝直人さんのように、役者さんの顔面偏差値が高いせいか、イマイチ醜さが伝わりにくいところもあります。

――というわけで、どう醜いのか、原作の人物紹介を抜粋してみました。

『四面体の鼻、馬蹄形の口、もじゃもじゃの赤毛の眉毛で塞がれた小さな左目、それに対して、でっかいイボの下にすっかり隠れてしまっている右目、まるで要塞の銃眼みたいにあちこちが欠けているらんぐい歯、象の牙みたいにニュッと突き出ている一本の歯、その歯で押さえつけられている、タコのできた唇、真ん中がくびれた顎』

顔の特長だけで、これなのに、更に佝僂病(くる病)によって背中と足が曲がっているんですから、時代を考えれば監禁も致し方ないのかもしれません。

日本でも昭和までは、田舎の大地主さんなどが、望まれなかった子や障害者の子を座敷牢に閉じ込めていた事実があったわけですから、似たようなものかなって思います。

手塚治虫作品の『奇子(あやこ)』が、座敷牢を舞台にした復讐の話でしたが、未だに未解決の国鉄三大ミステリーの下山事件を題材にした話を絡めるなど、戦後の闇や熱量が伝わってきて面白かったのを思い出しました。


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また、容姿のハンデだけでなく、鐘突き堂で監禁された結果、激しい鐘の音によって耳は難聴ですし、石像であるガーゴイル達と会話をしたり(幻覚・幻聴)、マイナス思考や自傷行為に記憶障害などの症状から、統合失調症だった(悪化した)のではないかと推測出来ます。

普通の童貞でも、『女の子に落とした消しゴムを拾ってもらった』とか、『笑顔で挨拶された』など、少し優しくされただけで『結婚して子供は二人つくろう』などと妄想したり、男子校出身者が、卒業後に大学や会社で女性との距離感が分からず、苦労したり突飛な行動に出たりしてしまうケースがあります。

カジモドは男子校どころか監禁されていたわけで、引きこもりからくるコミュニケーション能力の欠如と病気では、悲劇的な末路になるのも、然もありなんといったところではないでしょうか。

更には、それに加えて外見のコンプレックスによる自信の無さもありますし、精神も不安定なんですから、生まれて初めて女の子と話す機会が訪れて、しかもそれが16歳の美少女なんですから、そりゃあもう、ちょろ過ぎるくらい簡単に恋に落ちちゃいますよね。

※以下重要なネタバレを含みます。







その結果、エスメラルダの為に(復讐に)、育ての親であるフロローを筆頭に、多数の名もなき警備兵達の殺害に至りました。
しかも、警備兵の皆さんは、生き残った人達も死んだ方がマシに思えるような後遺症が残っていることが、カジモドが行った攻撃方法から、容易に想像出来ます……。

もしも監禁されず、フロローに連れ立ってなどで良いので、カトリック信者の女性達辺りと、会話をする機会が持たれていたら、ここまでの惨劇は回避出来たように思えてなりません。

それで思い出したのが、昭和の大量殺害事件として有名な、津山三十人殺し(津山事件)です。

津山三十人殺しは、1938年(昭和13年)5月21日未明に岡山県苫田郡西加茂村大字行重(現・津山市加茂町行重)で発生した大量殺人で、都井睦雄(当時21)がたった一人で起こした類を見ない事件で、横溝正史作品である八つ墓村のモデルとしても有名です。

都井睦雄は、肺結核を患ったことにより、村人達から差別を受けて、引きこもりになってしまい、以前に好意を寄せていた女性が里帰りしたという情報を聞いて、上記の大量殺人を行いました。

都井睦雄は夜這いなどをしていたそうですから、童貞ではないと思われますが、結核による差別や引きこもりからの被害妄想と、別の男性と結婚した好きな女性が里帰りをしてきたことによるマイナスな感情がトリガーとなりました。
その後、都井睦雄は自殺してしまうのですが、遺書には、好きな女性の旦那さん(遺書には実名)を殺せなかったことが悔やまれると書かれていましたので、拗らせていたことは確かです。

※個人的に津山三十人殺しは、事件後に被害を免れた家庭が村八分されるなど、日本の田舎らしい後日談の方が大量殺人よりもエグい気がします……。







そんな都井睦雄と比べると、カジモドは性格の良さが感じられるので、女性慣れさえしていたら、ディズニー映画バージョンとは違う、惨劇が回避出来る世界線に辿り着けたように思えます。

以上が、劇団四季ミュージカル・ノートルダムの鐘におけるカジモドのレビューになりますが、童貞を拗らせたというよりは、引きこもりや病気による弊害といった要因が多数を占めている印象でした。

ですが、フロローは違います!
明日は本格的に童貞を拗らせてしまった、フロローについてガッツリレビューしていきます。


拗らせた童貞二人による悲劇の古典文学 その3・フロロー編に続く。

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2018年9月22日(土)に名古屋四季劇場で開幕した、劇団四季ミュージカル・ノートルダムの鐘へ、9月24日と10月8日の2回、相方さんと観劇に行ってきました。

以前は栄にあった劇団四季の劇場ですが、2016年10月16日に名駅エリアに移転されています。
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場所は名駅から南南東で、徒歩15分前後といったところでしょうか。
笹島やスパイラルタワーの方へ向かって歩いて行って、最後に東へ行けば到着です。
地下からだと、途中までしか行けないので、雨の日は雨具が必須になります。

車の場合は、劇団近くにコインパーキングが複数存在しているので、近くのお安いところを探してみてください。
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階段を登ると、入り口の扉の前で、主役のカジモドの衣装を身に付けた熊のぬいぐるみがお出迎えしてクマー……もとい、お出迎えしてくれました。
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劇場内ではグッズの販売も行われています。
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バッグがオサレですね。
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でも、一番可愛いのはぬいぐるみではないでしょうか。
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そんなグッズに後ろ髪を引かれる思いでしたが、開演時間が迫ってきたのでホールへと急ぎました。
二階席でしたので、階段を登ってむかいます。
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そこでは、ヒロインのエスメラルダの衣装を身にまとった熊のぬいぐるみがお出迎えしてクマーって、二度目はクドいですねw

一階席の人だとエスメラルダの熊には出逢えないので、これは二階席の特権です。
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そして、この先を進むと、ホールになるんですが、劇団四季では、役者さんのいない休憩時間であっても舞台の撮影は禁止されています。
ですので、この先は実際に観劇をして、確かめてみてください。

名古屋公演のチケットは、2019年3月31日まで発売中だそうです。
詳しくは下記の劇団四季の公式サイトでご確認ください。
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※劇団四季公式サイト


※スタッフ一覧

クリエイティブ・チーム
作曲 アラン・メンケン
作詞 スティーヴン・シュワルツ
台本 ピーター・パーネル
演出 スコット・シュワルツ
振付 チェイス・ブロック
装置デザイン アレクサンダー・ドッジ
衣裳デザイン アレーホ・ヴィエッティ
照明デザイン ハウエル・ビンクリー
音響デザイン ギャレス・オーウェン
ヘア&ウィッグデザイン チャールズ・G・ラポイント

音楽スーパーバイザー
編曲 マイケル・コザリン
オーケストレーション マイケル・スターオビン
ダンス音楽アレンジ ロブ・バーマン
アソシエート・プロダクション・スーパーバイザー M・ウィリアム・シャイナー
アソシエート・音楽スーパーバイザー ブレント=アラン・ハフマン

『ノートルダムの鐘』ワールドワイド・スタッフ
共同プロデューサー アン・クォート
シニア・プロダクション・スーパーバイザー クリフォード・シュワルツ
ゼネラル・マネージャー ケイトリン・トムソン
アソシエート・装置デザイナー ジェナ・カリーノ
ムービングライト・プログラマー ショーン・ビーチ
小道具コンサルタント クリスティーナ・グールド
アソシエート・キーボード・プログラマー テイラー・ウィリアムズ
プロダクション・コーディネーター エリザベス・ボルジャー
プロダクション・アシスタント ブリー・シルヴァ

ディズニー・シアトリカル・プロダクションズ プレジデント トーマス・シューマーカー
シニア・ヴァイス・プレジデント/ 戦略・マーケティング・収益担当 アンドリュー・フラット
シニア・ヴァイス・プレジデント/ プロダクション担当、共同プロデューサー アン・クォート
シニア・ヴァイス・プレジデント/国際担当 ロン・コーレン
シニア・ヴァイス・プレジデント/ビジネス法務担当 ジョナサン・オルソン
ヴァイス・プレジデント/シアトリカルMD担当 スティーヴン・ダウニング
ヴァイス・プレジデント/クリエイティブ開発担当 ベン・ファミリエッティ
ヴァイス・プレジデント/財務・運営・技術担当 マリオ・アイアネッタ
ヴァイス・プレジデント/ビジネス法務担当 セス・ストゥール
ディレクター/国際担当 フェリペ・ガンバ
ディレクター/人事担当 マリー=ピエール・ヴァラン
ディレクター/ビジネス法務担当 ナイラ・マッケンジー
マネージャー/財務担当 ジェニファー・オーガスト
クリス・エキジアン マネージャー/国際担当 リー・タグリン
アシスタント/国際担当 リサ・ワイナー
ヴァイス・プレジデント、ジェネラル・マネージャー/ ミュージック、ライブエンターテイメント、 クレジットカード・アライアンス/ ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(ジャパン) エツコ・シェイクスピア シニア・マネージャー/ミュージック、 ライブエンターテイメント、 クレジットカード・アライアンス/ ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(ジャパン) リツコ・オカモト

日本スタッフ
企画・製作 四季株式会社
日本語台本・訳詞 高橋知伽江
日本版演出スーパーバイザー 味方隆司 北澤裕輔
日本版スーパーバイザー助手 脇坂真人 坂田加奈子
音楽監督 鎮守めぐみ
音楽監督助手 浪江暢子
技術監督 近藤建吾
ファイト・ディレクター 新美智士
※敬称略

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そんな劇団四季のミュージカル・ノートルダムの鐘は、1831年に出版されたヴィクトル・ユーゴーの『ノートルダム・ド・パリ(Notre-Dame de Paris)』邦題は『ノートルダムのせむし男』の小説が原作になります。






1996年に日本で公開されたディズニー映画で、初めて『ノートルダムの鐘』というタイトルが登場し、劇団四季もこれを踏襲されました。

ただ、アメリカでは『THE HUNCHBACK OF NOTRE DAME』というタイトルだったので、そのまま日本語訳をすると『ノートルダムの鐘』ではなく、原作小説のタイトルだった『ノートルダムのせむし男』となります。

ですが、小説が発売した頃とは違い、『せむし』が現代の日本では放送禁止用語となってしまった事で、タイトル変更を余儀なくされた結果の『ノートルダムの鐘』というタイトルだったようです。
『みなしごハッチ』が2010年の映画では『みつばちハッチ』にタイトルが変更されてしまったことと、同じ理由ですね。

劇団四季さんでは、毎週公式ホームページで週間キャストを発表されています。
ちなみに先週は、下記のキャストさんが演じられていました。
カジモド 金本泰潤・飯田達郎
フロロー 野中万寿夫
エスメラルダ 宮田 愛
フィーバス 清水大星
クロパン 阿部よしつぐ
男性アンサンブル 塚田拓也・山田充人・大空卓鵬・賀山祐介・高舛裕一・平良交一・手島章平・吉田功太郎
女性アンサンブル 小川晃世・村木佑衣・町島智子・原田真理
男性クワイヤ(聖歌隊) 永井崇多宏・坂下良太・見付祐一・奥田直樹・青井緑平・澤村楽人・高井治・山﨑聡一郎
女性クワイヤ(聖歌隊) 片山美唯・中山理沙・平木萌子・青栁歌奈・谷明実・北野有希依・吉田瑛美・杉山由衣
※敬称略

名古屋公演から、一部の演出が変更になっていたものの、基本的なストーリーは変わりません。
ですが、キャストさんによって、演じ方や印象は結構変わります。

これまで、昨年2月の東京、昨年9月の京都、そして今回の名古屋2回と、4回観劇した印象としては、カジモドは劇団四季の役者さんではない外部の海宝直人さんが個人的にイメージする人物像に一番近いように思いました。

海宝直人さんのカジモドは、イケメンでカジモドとは似ても似つかない容姿をされているのに、一番表情や声が苦しそうで、良い意味で醜い化け物感が伝わってくるところが素晴らしかったです。
また、今回のレビューのテーマでもある拗らせた童貞っぽさもNo.1でしたw
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ちなみに、10月8日訪問した時の、金本泰潤さんのカジモドも素晴らしかったです。
どんなに歌や演技が上手くても、身長180cmを超える人がカジモドって、ミスキャストじゃないのかと思いながら見ていまして、実際に“最初の登場シーン”では、思った通りの巨大さで、「デカッ!」っと叫びそうになってしまいました。

ですが、“カジモドになってから”は、常に足や膝を曲げて背を丸め、他のカジモド役の人よりも小柄に思えてしまうくらいに無理な体勢で演技することで、背の高さというハンデを感じさせることなく、違和感の無いカジモドになっていました。

※最初の登場シーンやカジモドになるという言葉の意味は、実際に観て確認していただけると幸いです。

フロローは、どの役者さんも良い意味で、ねちっこさや変態っぽさが伝わってきた良かったです。
中年男性のイヤらしい感じをあれほどナチュラルに出せる皆さんの演技力に脱帽ですね。
※素だったらどうしましょうw
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そんな、劇団四季版のノートルダムの鐘のストーリーをネタバレなしで簡単にまとめますと、以下のようになります。

15世紀末のパリにあるノートルダム大聖堂の鐘突き塔に、出来損ないという意味の名前を持つ、カジモドという男が、その醜さのせいで、塔に閉じ込められていました。
そんなカジモドは、塔からパリの街を見下ろす生活を続けていたのですが、1482年1月6日に行われた道化の祭に参加したことによって世界が一変しました。
それは、ジプシーのエスメラルダと出会いによるもの。
それは、カジモドだけでなく、育ての親で聖職者のフロロー、警備隊長のフィーバスも同じ。
一人のジプシーに、三人の男達が惚れてしまった結果、全員の運命が狂っていく、悲劇の物語です。
※参照(ネタバレ注意)https://www.shiki.jp/applause/notredame/story/
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陰キャでヒッキーなカジモド、カトリックの司祭様でありながら、むっつりスケベなフロロー、モテ男だけど戦争で四年間も女ひでりの続いていた色男のフィーバス。

そんな男達の中で、唯一非童貞のフィーバスも、別の意味で闇が深いため、何れ単独でレビューしたいと思っています。

今回はタイトルのように童貞をテーマとしていますので、先ずはカジモド、翌日にフロローという感じで、童貞を拗らせた二人だけをピックアップしてレビューしていきたいと思います。

それでは今からカジモドのレビューを――と、思ったのですが、明日へと、拗らせではなく焦らさせてもらいますw

ただ単に今日中に間に合わなくて分割しただけという真実は、パリの人々に見つからないように、ノートルダムの鐘つき堂へ隠しておかなきゃですねw

拗らせた童貞二人による悲劇の古典文学 その2へ続く。